2009年09月08日

選挙運動いろいろ

この記事はあくまでも私の見聞を書いたものであり、
あらゆるスタイルの選挙運動に当てはまるわけではない。


【街頭演説】
基本中の基本である。大きな駅をメインに、様々な場所で行う。
選挙期間中、候補者はほとんどの時間をこれと選挙カーで費やす。
また、選挙期間でなくても積極的に行うべきであろう。

これは行う時間によって朝立ち、夕立ち、夜立ちと呼ばれる。


・朝立ち

朝は毎日、7時くらいから8時半くらいまで駅頭に立ち、
通勤、通学中の有権者を狙って、
候補者や地方議員がマイクを持ち支持を呼びかける。
ただし8時(だったと思う)までは拡声器を使うことができない。

街頭演説といっても、ただのスピーチと異なるのは、
聴衆はみな忙しくて聞く気もないということである。

1分、いや30秒も真剣に耳を傾けてもらえると思うのは恐るべき傲慢である。
最低限の目的は名前と党名を覚えてもらい、「頑張っているな」と思っていただくこと。

だから、随所に名前を挟み込み、なおかつ
「どの30秒を切り取って聞いてもなんとなく意味がわかる」スピーチをしなければならない。

かといってあまりに内容の薄すぎるスピーチでは、
ごく稀にいる、特別に関心があってずっと聞いていた人
あるいは駅周辺に住んでいてずっと聞こえていた人を失望させる。

また、演説を行える時間はまちまちなので、自由に時間調整できる技術が必要だ。
要はバランス感覚なのだが、思うほど簡単ではない。

また色々な場所で演説を行うので内容は基本的に使いまわしだが、
10日もやっていれば2度3度と演説を聞く人もいるだろう。
とくに、熱心な人ほど何度も聞くことになるし、レパートリーは多い方がいい。
さらに、聴衆の傾向や雰囲気によって内容をアレンジできれば言うことはない。


・夕立ち

夕方の帰宅途中の有権者もやはりほとんど聞いてくれないが、
朝ほどは急いでいない。
また、駅前の広場で佇んでいるような人に声が届くような場合は、
もう少し長時間耳を傾けてもらえると期待できる。


・夜立ち

後述の選挙カーは夜8時までしか使えない。
というか、拡声器が8時までしか使えないのである。

しかしその後も休んではいられない。
比較的夜遅くになってから電車で帰ってくる人を狙い、
肉声で支持を訴える。

拡声器がない状態でしゃべっても、
ターゲットがごく近くにいる数秒しか声が届かない。
学校や仕事で疲れ切った有権者に、長々しく理屈を説くのは無粋でもある。
というわけで、党名と名前、「お仕事お疲れ様でした」。
この3点を伝達するのが目標になる。



また、大物政治家や著名人が応援弁士に来てくれることがある。
この場合は話を聞いてくれる人が多く集まるので、チャンスである。



ボランティアの仕事は、のぼりなどの設営、
候補者付近でのマニフェストやビラ配りである。

そう、口頭よりも、できればマニフェストを読んでもらう方が情報量が多い。

マニフェスト配りの際、基本的に伝達すべきことは以下の通り。
・おはようございますorこんにちはorこんばんは
・党名
・候補者名
・ただいまマニフェスト(および候補者のビラ)をお配りしています
・(受け取ってもらったら)ありがとうございます

しかしこの四点を全部言う時間は全くないため、適当に端折ることになる。



【選挙カー】
嫌われている選挙活動だが、
やはり存在を認知されることによって増える票の方が多く、
当選への努力としてこれを行わないことは難しい。

民主主義的な選挙にかかるコストとして、
多少のご迷惑をおかけすることにはご理解をお願い申し上げたい。


ウグイスさんがマイクで支持を呼び掛けるが、
候補者本人が乗り込む場合も多い。

これはそもそも車が数秒〜十数秒で走り去るし、
ターゲットは建物の中にいるため、
複雑な内容を喋ってもまったく伝わらないであろう。

だから候補者の名前を連呼することになるが、
全くそれだけというのではやはり印象が悪すぎる。

ごくごく、本当に簡単な程度の政策の訴えや、
スローガン、キャッチコピー、意気込みの表明なども交えるのが普通だ。

また、候補者や応援の地方議員などにゆかりのある土地を通る時、
そのことを猛アピールする。

学校や病院ではボリュームオフ、
激励や振られた手にはお礼を必ず返し、
(マンションの上層からであっても、見つけなければならない)
作業員を見かけたら候補者は働く人の味方だといい、
子ども連れを見かけたら子育て支援をアピールする。

ウグイスさんには機転と弁才が必要である。
ただ候補者の名前を言っていればいいという簡単なものではない。


ウグイスではないボランティアの仕事は、
選挙カー、あるいは前につく先導車などに乗り込み、
白い手袋をはめて車から手を振り、
人を見かけたらこんにちはの後に候補者名や党名を叫ぶことである。
マイクもいいが肉声で呼びかけられると印象がいいようだ。

手を振り返されたり、「頑張ってください」などの激励をもらったら、
すかさず心からの笑顔と声で「ありがとうございます!」と叫ぶ。

案外嬉しいものなので、選挙カーにはぜひ手を振ってあげてほしい。
また、子供は選挙カーが好きである。
子供からの応援は票にはならないが、元気にはなる。

公園で小さな子供に笑顔で手を振っても不審者とみなされないのは、
選挙期間中だけであろう。


路地を低速走行しているような場合、
熱心な支持者が外に出たり窓を開けたりして激励してくれる場合がある。
このような場合、候補者本人が乗っていれば必ず降りて、
その人の元に駆け寄り握手する。
ボランティアはその後を追いかけビラやマニフェストを渡す。


・スポット演説

また候補者は、団地などの人が多そうな場所で選挙カーをたびたび降りて
ごく短い(5〜10分)の街頭演説を行う。「スポット演説」である。
スポット演説は弁士、聴衆ともに移動しないため比較的内容重視でいい。

ついでに、ボランティアはポスティングやビラ配りなどを可能であれば行う。
結構大変だ。

このスポット演説を1日50回やれというのが小沢一郎の教えであり、
東京12区で公明党代表を破った青木愛などはそれをやったらしい。

善意によってタダ、もしくはごく薄給で働く
運転手や運動員に休憩を与えないわけにはいかないし、
ごく僅かずつ移動しながら2分程度喋ると考えても、かなり大変だろう。


また、このようなスポット演説などをやる中で、
他党の候補者と場所がバッティングすることがある。
こういった場合は、基本的に話し合いで解決する。

応援する候補が違っても、同じ苦労を共有するものとして、
運動員同士は奇妙な共感で結ばれている。


最近は選挙カーより印象がいい自転車を使う政治家が増えているが、
私が支援した候補者はやらなかった。
そのかわり地方議員とボランティアだけで自転車部隊を組んだが、
それについてはまた今度にしよう。



【集会】
有権者が数人集まるといえば
政治家(特に新人、若手、浪人)はそこに出向き、集会を開いて語り合う。
これは「ミニ集会」といって、
民意の汲み取り、また地盤固めのためにとても重要である。
大物は全国を回るが、下っ端は自分の選挙区で有権者と語り合うことが大切だ。

しかし、こういった屋内での集会は、選挙期間中はあまりやらない。
やるとすれば初期の「決起集会」、あとは数回程度だろう。

ミニ集会は基本的に国会議員(候補)と地元の地方議員程度だが、
選挙期間中の集会には大物政治家など弁の立つ人が応援に来る。

このような集会では聴衆は完全にまじめに話を聞いてくれる。
が、身内や熱心な支持者がメインなので、主目的は支持拡大というより士気高揚である。

集会のあとはそのまま街頭に出て、演説を行ったりすることが多い。
集会の参加者もそのままサクラになってくれることを期待できる。



【ゲリラ部隊】
候補者なし、ボランティアや地方議員だけで、
大きな交差点や駅頭でビラやマニフェストを配る場合がある。

基本的にこんなことをしても、
候補者本人がいない状態ではあまり注目してもらえないのだが、
先の選挙に限っては民主党のマニフェストが異常人気となったようである。


この仕事に限ったことではないが、元気に声を出さないと叱られる。
ただ何をしゃべってマニフェストを配るかは自由裁量があり、いろいろ工夫した。

とはいえあれこれ喋るよりも、
最低限党名と、マニフェストを配っているという事実を伝えることが大切かなと思う。


演説、ビラ配り関係の運動について書いたが、
まとめるとこのようになる。

認知重視←→内容重視
ゲリラ部隊 選挙カー 夜立ち 朝立ち 夕立ち スポット演説 応援ありの街頭演説 集会


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2009年09月06日

風は穏やかに凪いでいる

「民主党はもっと勝っても罰は当たらなかった」と私が述べるのは、
何もひねくれて言っているわけではない。

個別の地域の前に、空中戦/地上戦でいうところの空中戦の面から述べよう。

自民党の政権運営や選挙戦術があまりにも悪かったし、
後述するように自民党の「地盤」が崩壊しているから、
「政権交代」を旗印にすることで、勝つことは勝てた。

けれども、「民主党への風」は吹かせられなかったという状況であろう。
吹けば、民主党はもっと勝ったはずである。

「小沢ガールズ」は優れた戦略ではあった。
彼女らは空中戦に貢献したし、候補者としても強力であったし、
議員としても期待してよい面々であろうと私は思う。

しかし、それによって起きた風は小泉旋風やオバマフィーバーとは比較にもならないし、
新政権への国民の視線も、私の予想以上に懐疑的であり、鳩山政権は多難な船出となる。

なぜ、民主党フィーバーが起きていないのか。

高速無料化などの政策があまり国民に理解されていない、
誰もが期待する目玉政策が出せてない、メディアが味方になっていないなど、色々な要素がある。

しかし民主党はもっとうまくやれば、ブームを作れたのではないかと思う。

よく「風に乗って民主党大勝」と言われているが、
私は、その表現は正しくないと考えている。

風は、穏やかに凪いでいる。


「風」は凪いでいたけれども、「大地」のほうが動いて、政権交代が起きた。

それは言うまでもなく自公政権への国民の怒りであり、穏健保守層の離反である。
マスコミが作る「風」ではない。大きな大きな「地殻変動」が、
1955年以来の「戦後レジーム」を終焉せしめたのである。


また、より「選挙戦略」という視点にひきつけて考えるならば
小沢一郎が色々と動いて農家など自民党の組織票を離反させたこともあるし、
なにより、下野することが明らかな自民党に利権を期待することはできない。

そのような理由で自民党の支持基盤、利益誘導のシステムは崩壊したわけだが、
それにしては、いくつかの選挙区で民主党は保守地盤の壁に阻まれている。

「もともと無理な選挙区だった」と言える小渕優子や安倍晋三の選挙区は別としても、
古賀・森・福田などの選挙区は民主党としても「象徴的な選挙区」として重視し、
強力な候補者を擁立した。

最初は「大物を選挙区に張り付ける」という目的であったかもしれない。
しかしその後状況は変わった。途中、勝てる展望が見えた時期もあったのである。

ただ、結局は、惜しくも及ばなかった。

利益誘導がなければ何の魅力もなさそうな男たちだが、
長年のしがらみを活用して巻き返したのか、それとも民主党が緩んだか。
あるいは、やはり活動の期間が足らなかったのかもしれない。


また、地域としては、北陸、山陰、四国などに関しては民主敗北といってよい。
とくに四国は参院選の全勝からうって変わっての敗北であるから、
候補者の選定、選挙戦術などに問題はなかったか再検討が必要かもしれない。

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2009年09月02日

政権交代成る

暑く、熱い選挙戦が終わった。
私自身、某候補者の事務所にて、
衆議院総選挙の選挙戦に加わらせていただいた。

結果的に、政権交代は成った。

客観的に見れば、民主党が未曾有の大勝、
自民・公明が大敗ということになるであろう。

自公政権の新自由主義経済により、国民生活は貧困の底に追いやられた。
今回の選挙によってその責任を取らせることができた。

また、憲政史において国民が直接総理を選んだ初めての経験ともなる。

新政権にはぜひ新自由主義路線を転換、明治以来の霞ヶ関支配を打破し、
「国民の生活が第一」というスローガンを裏切ることのないことを求める。

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自民党はもはや存立基盤を失っている。

派閥という教育・政策立案システムはすでにない。
もはや利益誘導による集票もできない。
最大の支持団体、創価学会の援助もなくなるであろう。
政策面で官僚に頼ることももはやかなわない。
財界も自民党べったりではなくなる。

それでも、これまでの失政を真摯に反省し、
「国民政党」であった自民党の姿を取り戻す努力が見られれば、
再起の目はあったかもしれない。

しかし、この選挙では自民党にそのような反省はなく、
右派イデオロギー的な主張とネガティブキャンペーンを繰り返すだけであった。

小選挙区制において右に走ることは選挙戦術として拙い。
右派はどちらにせよ自民党についてくるものとし、
中道ないし左派の票まで取ることを目論むべきであった。

しかし自民党はそれをせず、過激な主張とネガティブキャンペーンで、
旧来の支持層たる穏健的な保守層の票まで逃がした。
自民党の政策立案能力、自浄能力の限界かもしれない。

もはや、自民党の再起は難しくなってきた。
私は一党優位を避ける立場から、繰り返し自民党再生を説いてきた。
しかし、ことここに至っては自民党消滅または大幅縮小のうえ、
民主党分裂または新党の登場によって新たな対立軸を作る方が好ましいかもしれない。

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各方面で「民主党大勝」と言われている。

小沢の選挙戦術は鮮やかであった。
たとえば野田聖子の選挙区では、
かつて佐藤ゆかり支持であった自民党県議を抱きこみ、民主党を支持させ、
結果として野田聖子を小選挙区落選に追い込んだ。
このようなことは小沢にしかできない。


しかし、自民党消滅を目標にするならば、
もっと勝っても罰は当たらなかったところであるし、可能でもあった。

民主党の気が緩んだか、自民党が意地をみせたか、
いくつかの注目選挙区では自民党が議席を維持した。
また、近畿では比例候補者が足りず自公に議席を譲った。

小沢も、やはり人の子といったところであろうか。


私は社民党の影響力という観点から民主党の勝ちすぎを懸念してきたが、
もはやそういうことを云々できるレベルの数字でもない。

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小政党には厳しい選挙となった。

社民党としては何とか議席数を守ったが、比例得票は大幅に減少している。
また、保坂展人を失ったのは痛恨事というほかはない。

「護憲」が争点になるような政治情勢ではなく、
「政権交代」、「生活が第一」というスローガンを民主党が持ってしまった中、
社民党の存在意義をどのように打ち出すか、本当に苦慮された。

党首の福島瑞穂は、選挙中、時に踏み込んだ民主党批判をし、
野党支持者からも非難を浴びた。
しかし、そのようなこともして差別化を図らないと生き残れない。

社民党は苦しいが、まずは、新政権内で成果を残したい。

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2009年07月11日

財源論の不毛

山井和則メールマガジンからほぼ全文を引用する。
http://archive.mag2.com/0000027832/index.html

ぜひお読み頂きたい。

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あしなが育英会の学生との出会い
〜「アニメの殿堂」が、施設内容、事業、規模をHPでアイデア募集〜


 メルマガ読者の皆さん、こんにちは。
 明後日は都議選の投票日。

 来週には、民主党が内閣不信任案を国会提出を検討。
 麻生総理も都議選の結果次第では、退陣の可能性もあり。
 どちらにしても1、2ヶ月の間には選挙があります。

 いよいよ政治を国民の手に取り戻すときです。
東京中心の政治を地方中心に。
霞ヶ関中心の政治を市町村中心に。

ハコモノへの投資でなく、ヒトへの投資に。
政治の優先順位を変えるのが政権交代です。

 さて、一昨日、藤村修議員の紹介で、
あしなが育成会の学生の方々70人に講演する機会がありました。
親と死別した学生の方々です。

あしなが奨学金をもらい、
非常に苦しい生活の中で大学に通っておられます。

 講演をさせて頂きましたが、
逆に、貧しいあしなが育成会の学生のために、
政治は何をできているのか? ということを、
逆に私は自問自答させられました。

不況が深刻化し、高校や大学に何とか入学できても
家庭の事情で中退せざるを得ない若者も増えています。

そんな中で、あしなが育成会の学生は
必死に勉学に励んでおられます。
貧困からの脱出には、教育しかありません。

 藤村修議員は、大学卒業後、
一般企業に就職が内定していましたが、
あしなが育英会の運動を知り、内定企業への就職をやめて、
あしなが育英会の事務局に就職。

その後、日本新党から衆議院議員に当選され、
今は当選五回です。
そして、民主党の文部科学部門のリーダーです。

 その藤村議員が、心血を注いで、
民主党の選挙公約マニフェストに今回、盛り込んだのが
「高校授業料の原則、無料化」です。

これを実現する法案を民主党はこの国会に提出しましたが、
与党の反対で成立しません。

それを政権交代のあかつきには実現します。
 大学卒業後から30年以上、ずっと、
あしなが募金の運動の中心として募金を集め、
何千人もの高校生、大学生を藤村議員が支えてこられました。

そして、その1つの集大成が
「高校授業料、原則、無料化」の選挙公約です。

貧しい家庭の子どもたちも望めばみんな、
高校には進学できるようにしたい。という
藤村議員の人生を賭けた熱い思いがそこにはあります。

 大学生たちと2時間にわたり、話し合いをし、
政治への疑問や要望を聞き、私も自分自身の原点を改めて、
再確認させて頂きました。

今の政治がもっとも無視している問題。
それが貧困問題。子どもの貧困。貧困の連鎖の問題です。

 一方、昨日も母子加算復活作業チームの会議を行いました。
12回目。今週も与党に母子加算復活法案の衆議院での審議を
要望しましたが、拒否されました。とんでもない話です。

 昨日の会議でも、新たな問題点が出ました。
厚生労働省の一般母子家庭の収入という統計が、
母子だけの収入か、同居しているお母さんの親の収入も
含まれているか不明だというのです。

そんないい加減な統計はないでしょう。
そもそも「母子家庭調査」と言いながら、
3割も三世代同居している家庭が「母子家庭」に含まれている
こと自体、意味が不明。

そのようないい加減なデータと生活保護家庭を比較して、
母子加算の廃止を理由付けるのはおかしい。

 この間、民主党が国会に提出した母子加算復活法案の
成立を阻止するために、厚生労働省は、生活保護の
母子家庭がいかに恵まれているかを説明する資料を作成し、
配布してきました。

それが正確な資料なら良いですが、
いい加減な資料なのですから、とんでもありません。

 全く不正確な資料をもとに、母子加算が廃止され、
10万世帯、18万人の貧しい子どもが苦しんでいます。

そして、その10万世帯の母子は、
国会に苦情を言いに来る術も知らず、お金もなく、
時間もない方が多いのです。

 昨日の母子加算復活チームでは総務省に、
改めて母子家庭の実態調査を依頼しました。

 一方、ハコモノの「アニメの殿堂」
国立メディア総合芸術センターには117億円予算が
 補正予算でつきました。お台場という東京の一等地。

 しかし、しかしです。
 なんと文化庁のHPを見てみると、
 「国立メディア総合芸術センターを10月から建設する
  にあたり、その事業、施設内容、管理運営、規模など
  についてアイデア募集」と出ています。

 このセンターは、予算が117億ついたけれど、
 運営費は未定、働く人数も人件費も、採算も、
 展示内容もすべて未定。

 挙句の果てにHPでアイデア募集とは!
 いい加減にしろと言いたい。
 やる事業内容も決まっていないのになぜ、
 予算が117億円もつくのか。

 市町村議会ではあり得ない。
 だから、霞ヶ関が予算を握るとムダ遣いが減らないのです。

 その117億円があれば、
 18万人の母子加算を切られた子どもに
 今年度、月2万3000円の母子加算を復活させることができます。

 これは1つの象徴です。
 私たちはハコモノではなく、ヒトに投資したいのです。

 政治の優先順位を変えたいのです。
 おまけに、国会にも苦情を言いに来れない、
 もっとも弱い貧しい人々の予算を真っ先に切るという、
 その今の政治の冷たさが私は許せない。

 日本の母子家庭の60%が貧困ライン以下の生活を強いられ、
この割合は先進国1です。

また、日本の自殺率はアメリカの2倍、
イギリス、インドなどの3倍です。
経済的理由の自殺、若者の自殺が増え、年間3万人を超えています。

 人間を大切にする政治。
人間に投資する政治に転換せねばなりません。

 いま若者の半数以上が非正規雇用。
しかし、安定した雇用でなければ、いつクビになるか
わからなかったら、落ち着いて良い仕事などできません。

安定雇用こそ生産性向上と、
日本の産業の立て直し、社会の立て直しに必要不可欠です。

 来週は政治の大きな山場です。
人間を大切にする政治に向けて戦います。

 なお、明日土曜日朝8時半から
ポスト麻生を狙う舛添大臣と共に
下記のテレビに生出演します。ご笑覧ください。

ちなみに、舛添大臣就任2年間で、
最も多く舛添大臣に国会質問をした議員が私です。
山井和則

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与謝野財務大臣などは、
民主党の政策を「財源がない」といって批判する。

私は繰り返し、問題は政策の優先順位づけであり、
それを抜きにした財源論は不毛であると主張してきた。
http://apc-st.seesaa.net/article/114571656.html


今回のアニメの殿堂騒動で、私の主張の正しさも一層明らかになったと思う。

確かに、与謝野氏などが言うように、国の予算というものは、
打ち出の小槌を振れば、無尽蔵にお金が湧いてくるわけではない。
社会保障、福祉、教育などが大事と言えども、
無限に予算を使うようなことはできまい。


しかし、そう主張するのであれば、
まず政府与党が率先垂範し、無駄な予算を省くべきであろう。

事業計画すらない状態でアニメの殿堂に100億円を超える予算を付ける。
このようなことをしていては、財源論で野党を批判しようと説得力に欠ける。

アニメの殿堂をやめれば、もっといいことができるであろう。
おそらく、アニメの殿堂は氷山の一角にすぎないのであろう。

国民はそう考えるに違いないのである。

あるいは野党は、やろうと思えば、
「与党も無駄遣いをしているじゃないか」というエクスキューズを
もってして、無駄な予算を組むマニフェストを作れるかもしれない。

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私は二大政党論者ではないが、
残念ながら今の政治は二大政党制に近づきつつある。

しかし二大政党制は、片方の政党が弛緩すれば、
もう片方の政党も弛緩する。
「あちらより少しだけマシ」なら構わないのだから。


その意味でも、自民党には奮起を望む。
アニメの殿堂の予算は見直されるべきである。

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2009年07月06日

静岡県知事選挙、民主党、社民党、国民新党推薦の川勝平太氏が当選

静岡県知事に民主推薦の川勝氏 
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009070690002536.html

 前知事の辞職に伴う静岡県知事選は5日投開票され、無所属新人で前静岡文化芸術大学長の川勝平太氏(60)=民主、社民、国民新推薦=が、無所属で前自民党参院議員の坂本由紀子(60)=自民、公明推薦=、無所属で元民主党参院議員の海野徹(60)、共産党公認で党県委員会常任委員の平野定義(59)の新人3氏を破り初当選した。

 民主党は名古屋、さいたま、千葉の政令市長選に続き、主要地方選4連勝し、東京都議選(12日投開票)や政権交代への大きな弾みとなった。麻生内閣は「衆院選の前哨戦」と位置付けられた選挙に敗れ、さらに苦しい政権運営を迫られることになりそうだ。

 同県での新知事誕生は4期16年ぶりで、国会議員や官僚出身でない民間人の当選は戦後初。投票率は61・05%で、前回の44・49%を16・56ポイント上回った。

 川勝氏は、出馬表明が告示の約2週間前と出遅れたが、民主党を前面に出す戦略が功を奏し、都市部を中心に支持を急速に拡大。鳩山由紀夫代表や岡田克也幹事長らが県内入りし、無党派層を取り込んだ。

 坂本氏は、自民党への逆風から政党色を出さず、副知事の経験や初の女性知事の意義を訴えた。麻生太郎首相は来県せず、女性閣僚や石川嘉延前知事が前面に立ったが、一歩及ばなかった。

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どちらかというと自民党が強い土地柄で、
しかも民主党陣営が川勝氏と海野氏に分裂し、
さらに共産党も独自の候補を立てたにも関わらず、
このような結果になったことは驚くに値する。

また、たいへん高い投票率。

いかに、自民党公明党への反感、不信、失望が大きいかということが伺える。

それと同時に、都議選、総選挙に対しても民主党は勢いをつけることになったであろう。

マスコミが鳩山氏のいわゆる「故人献金」問題が影響したと
書き立てることは必定であったから、それを防いだ意義も大きい。

麻生氏の立場も危ういものになっていくであろう。

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さはさりながら、
川勝氏は安倍晋三氏などとも考えが近い右派系、
それも、かなりエキセントリックな部類の人物である。

この様な人間でも、野党が分裂しても、
民主党推薦の看板さえあれば通ってしまう。

それだけ政権交代への期待、自公政権へのフラストレーションが高まっているからだが、
問題のある政治家が続々生まれてくるようでは困るし、
与野党の勢力が均衡しないのも困る。


あまりにも最近の自民党が酷過ぎることで、
さまざまな弊害が生まれてくることを心配している。

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2009年07月04日

組織として

自民離党「まだ、ない」中川秀直氏 独自公約で衆院選も - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090702/stt0907022345022-n1.htm

自民党の支持は崩壊しつつあり、
もはや個人で頑張るしかない、というのはわかる。

しかし、政治というのは基本的にはチームプレーである。
もちろん無所属で頑張って立派な活動をされている方はいるが。

それにしても、特定の党にいながら自分勝手な公約を出す、
自民党の政策と異なるものを公然と提示して戦う、
というのは政党政治の理念からしてちょっといただけない。

東国原騒動といい、「麻生おろし」の動きといい、
党のためではなくて自分のために行動している人が自民党には多すぎる。


組織というのは苦しい時こそ団結せねばならないのではないか。
このようなことでは、自民党が下野したとき、野党として切磋琢磨する前に
四分五裂することになってしまってもおかしくない。

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2009年07月01日

政権交代は常態化しなければならない

【故人献金】鳩山会見(1)「事実でない記載あった」 (1/5ページ)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/090630/stt0906302007014-n1.htm

とりあえず、この問題に対しては、
鳩山氏の事後の対応は悪くないものだと評価はしたい。

西松問題における小沢氏以上に、積極的に説明をしていこうとの意欲がある。


また、弁護士を同席させ、いくつかの細かい点について代理で説明させたのも、
いいアイデアであったと思う。
これでは、マスコミによるつるしあげはできない。


とはいえ、傷は傷である。
まだ事態の全容解明とは言えず、
マスコミの辛辣な論調もやむを得ない。

企業献金より個人献金だという民主党の主張の
輝きをいくらか失わせてしまう事件であり、残念である。

積極的な説明による信頼回復を望みたい。
小沢氏の二の舞になってはいけない。


一方、自民党も与謝野氏などにスキャンダルが噴出している。
また、東国原氏の騒動によって評判を落としている。

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政治は綺麗事ではなく権力闘争であり、
「勝てば官軍」であるという側面はある。
というよりも、その部分を強調していきたいのが当ブログの立場である。

さはさりながら、「政治」全体の評判が落ちるような流れは、できれば望ましくない。

なぜなら、「政治」全体の信頼が落ちた時、
それは官僚支配の肯定、あるいは民主政治の否定に繋がってしまうからである。

戦前の軍部の台頭の陰には、政争を繰り返す政党政治の否定があった。
経済情勢も深刻な今、民主政治が絶対に安泰であるとは言えない。

ネガティブキャンペーンをし合うような政争の仕方は、
時にはやむを得ないと思うが、できれば避けた方がいい。

ただ、繰り返すが綺麗事では政権を取ること、守ることはできない。

政治家としては単に「ネガキャンは良くないと思います」と言われても、
それを自制し、選挙に負けるという選択は、むしろ愚かなものである。

また、ただ倫理の面のみから「クリーンであれ」と政治家に説いても効果はなかろう。

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であるからこそ、「政権交代」が必要なのである。
いきなりの論理の飛躍、と思われるかもしれないが、私はそう考える。

結局のところ、「完全にクリーンな政治」は不可能である。
ただ、多少それに近い政治を目指すには、政権交代が常態化していることは重要であろう。

ジョン・アクトンも「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する」という。
利権が固定化しないようにすることが肝要である。

さらに、クリーンな政治という意味でも、また政策的にも、
いつでも政権を狙える野党により厳しく与党が監視されており、
与党が弛緩しないようにすることは重要である。


また、政権が行き詰った時、腐敗した時、
常に「スペア」が存在し、取り換えればいいのだ、という状況が存在すれば、
政治への信頼もいくらか高まるであろう。アメリカのオバマ政権を見よ。


ネガティブキャンペーンについては政権交代で防ぐことはできないであろう。
それはやむを得ない。

ただ、政権交代が常態化していれば、
与党がその権力を背景にあまり汚い政争を仕掛けることは自制されるであろう。
下野後に同様の仕打ちをやり返されるからである。


以上のことから、政権交代が常態化していることは重要なのである。

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確かなことは決して言えないが、
おそらく次の選挙で政権交代があるであろう。

ただ、民主党の永久政権になっては意味がない。

その点から言えば、
政権をうかがう野党としての自民党の責任は大きい。

ただ今の自民党にその責任を果たせるかどうか、
いくらか心配になってしまう点がある。


まず一つは、政策的に、小さなニッチに入ってしまいそうだということ。
例えば右派的な外交防衛政策、日教組や在日外国人へのヘイトスピーチ。
いま、自民党の一部にはこのようなことを売りにする向きがあるが、
このような路線では万年野党として定着しかねない。

もう一つは、かなりダーティなやり方で政争を仕掛けていること。
マスコミを巻き込んだネガティブキャンペーンや、いわゆる国策捜査。
このようなことをすれば、いずれ同じ目にあうのであって、
下野後を考えていない、悪い意味での「背水の陣」となっている。

他にも、野党に落ちた場合の懸念材料は数多い。
過去の日記を参照して頂きたい。
http://apc-st.seesaa.net/article/115031149.html


さまざまな苦難を乗り越えなければ、自民党再生はない。
私は左派ながら自民党の再生を願ってきたが、最近は諦めの境地に入りつつある。

ただ、自民党の再生のためにはどうすればいいか、いずれ書きたいと思う。
それができるかどうかは、別のこととして。

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封建制の時代の政権交代と、
民主政の時代の政権交代は、どういう違いがあるのだろうか。

私が思うに、それは「勝ったり負けたり」だということに尽きる。
「本来」は。

「勝ったり負けたり」、つまり「政権交代」がシステムとして存在し、常態化していること。

それが重要なのだが、我が国の、次の政権交代は、
むしろ封建制の時代の「王朝の交替」に近いものになるのかも知れない。

自民党独裁が滅び、民主党独裁へと。

そうならないためには有力野党が必要である。
自民党がそれを果たせるか。果たせないならば、あるいは民主党の分割を願うか。


とりあえずは民社国連立による政権交代を願うが、
その後のことまでつい考えてしまう。あるいは私は、気が早すぎるのかもしれない。

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2009年06月29日

郡和子議員「取り調べの可視化」

良い文章であると思うので全文引用させていただく。

郡和子 公式ホームページ
http://www.koorikazuko.jp/column/?d=20090624

【取り調べの可視化】 2009年6月24日

足利事件の再審が決定されました。

これで無実の罪で17年半も服役していた菅家さんが無罪になることが確実になりました。
今年4月に釈放されていた菅家さんも涙ながらに会見を行いました。
しかし、犯人とされた17年半は戻ってきません。

当時の有罪立証の柱だったDNA鑑定、導入後間もなくで専門家の中には危うさを指摘する声もありましたが、当時、捜査の場のみならずマスコミも、揺るがぬ証拠の一つとし、任意同行を求められた菅家さんを犯人と決めつけ、そして自白を引き出したとなると、凶悪犯として烙印を押しました。
猛省しなくてはなりません。

自白に導いた菅家さんの取り調べは、髪の毛を引っ張る、足で蹴飛ばされるなど暴行を伴うものだったそうです。

「死刑台から生還してまいりました」
宮城県松山町で1955年農家が全焼し焼け跡から一家4人が他殺体で見つかった、いわゆる「松山事件」の元死刑囚、斎藤幸夫さんが、84年に仙台地裁で再審無罪を勝ち取って、ようやく、支援者の前に姿を見せ放った最初のこの言葉を、そして、息子の無罪を訴え続け活動したヒデさんの「国民を犠牲にすることがあってはならない」の言葉の重さについて感じることを、以前、コラムで書かせていただきました。

斎藤さんの自白もまた、厳しい取り調べの中で強要されたものでした。

その斎藤さんもヒデさんも亡くなられましたが、いまだに菅家さんをはじめ冤罪はなくなりません。

取調の最初の段階から録画録音をするという「取調の可視化法」を成立させる以外に、冤罪の危険から市民を守る道はありません。そうでなければ、冤罪はなくなりません。

取調の可視化法は、参議院では可決され衆議院に送られていますが、衆議院では自民公明党の抵抗で審議さえされていません。
残念です。

マスコミの報道も検察発表に基づいた報道に終始し、司法の場でうけた人権侵害が、さらに社会でも、透明性・公平性を欠いたまま大きな人権侵害を生み出しています。

これらを防止し人権を最大限尊重する司法を取り戻すためにも、取り調べの最初からの可視化が不可欠だと思っています。 

最後に、今回の菅家さんと同じ不確実なDNA鑑定が採用された飯塚女児殺害事件の久間死刑囚の死刑が執行されたことに、多くの皆さんが「なぜ?」と大きな声を上げていただきたいと思っています。

冤罪を許さない。
二度と国民を犠牲にしてはなりません。
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2009年06月25日

今さら党首討論から色々と考える

昨日のブログを書いてより一日。
報道によれば、東国原氏は、総裁はともかく出馬への意欲はあるようである。

であれば、自民党に喧嘩を売るようなことはしない方が得策だと思う。
話題作りというか、自己顕示のためであったのだろうが。

いずれにせよ単純な読み間違いであり、恥ずかしいばかりである。
非合理的な行動というのは、なかなか理解しづらい。


それにしても、タレント知事にここまでコケにされて、
古くからの自民党を知るものとしては、返す返すも悲しい。

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読み間違いついでだが、
鳩山民主党の人気についても、いささか予測を外した。

これほど人気が出るとは思わなかったが、結果オーライであろう。
このまま行けば、政権交代は疑いのないところである。


むしろ今は、自民党が壊滅してしまい、
政権をうかがう野党が存在しなくなってしまうことが心配である。

また、そのような状況になっては、
民主党にとっては、社民党およびその政策に配慮をする必要もなくなってしまう。
それはあまり愉快な未来図ではない。


ただいずれにせよ、政局の一寸先は闇であり、油断してはならない。

西松事件の一連の動きを見ればわかるように、
スキャンダル攻勢、裏取引、あらゆる可能性がある。

何度も繰り返すことになるが、強調しておきたい。

それに対抗しうるのは、徹底的なドブ板の選挙活動により、
世論の「風」に耐えうる支持を築くことだけである。

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さて、何にせよ今は民主党に有利な状況である。

そのような中で行われた党首討論であるが、
麻生首相は、討論の技術以前に、攻め手を持ちえていない気がする。


まず、アジェンダセッティングが絶望的に誤っている。

国民の関心事がなんであるか、勘違いしている政治家が少なくない。

こちらの世論調査を参考にすると、
http://www.fnn-news.com/archives/yoron/inquiry090622.html

Q5. 次の衆議院選挙の争点として、あなたが最も重視するのは、次のうちどれですか。次の中から1つだけお知らせください。
政権交代 20.4
地球温暖化対策 3.1
医療・年金などの社会保障 31.7
北朝鮮問題などの安全保障 5.5
消費税などの財源問題 6.5
景気対策 21.2
行政改革 5.5
政策の実現性 4.7
わからない・言えない 1.4


国民の関心事はこのようになる。


だが、麻生首相は、
第一回の党首討論では「国民の最大の関心事は西松問題」と述べてひんしゅくを買った。
第二回では、とってつけたように朝鮮半島問題や小沢氏の第七艦隊発言に触れ、これまた失笑を買った。

財源問題で民主党を攻撃したことは、それよりはいくぶん筋が良いとは言える。

ただ、麻生首相は状況を十分に把握していない。
自民党は劣勢なのである。インパクトのある討論で、逆転ホームランを狙わなければいけない。

細かい数字の話をしては、せいぜい「引き分け」にしかならない。
そして、討論の「引き分け」はそれ即ち総選挙の「負け」を意味する。

また、財源論はこれまでに意見が出尽くしており、
結局のところ、両党、どちらが信頼度と期待度があるかの勝負にならざるをえない。
そして、自民党の方が支持率が悪いということは、
信頼度勝負を仕掛けても分が悪いということであると知るべきであった。


一方、民主党鳩山代表は、
第一回は「友愛」という言葉を繰り返し、分かりにくさは否めなかった。

ただ、第二回はそれを引っ込め、国民の関心の高い社会保障分野でしっかりアピールした。
この戦略は正しい。
議論は事実に基づいており、「お涙ちょうだい」であるとの批判は的外れであろう。
また、よしんば「お涙ちょうだい」であったとしても、国民の感情を煽れることは政治家の資質である。


今後、討論を繰り返すとしても麻生首相は厳しい。
戦略の練り直しが必要であろう。

社会保障、景気対策あたりのアジェンダで、アピールすべきである。
おそらく不可能であろうが、自民党は、それらの分野で少しでもよい政策を考えていかなければ、
党首討論で負けを重ねていくことになるであろう。

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そもそも、与党は自らの実績をアピールしなければいけない。
与党が野党に対してネガティブキャンペーンを繰り返すのは、みっともないことこの上もない。

本来であれば、十数兆をつぎ込んだバラマキ予算が、いかに素晴らしいかアピールすべきであったろう。

まあ、あの予算は政権交代後、民社国政権にカネを残さないという「焦土作戦」の性格が強かったのだと思うが、
それにしても、その十数兆を、人気のとれることにつぎ込んでいれば、
政策として良いかはともかく、政局には有利になったであろう。

それをせず、景気対策の点でも社会保障の点でもアピール度の弱い諸施策を打ってしまった。
「出まかせ」の印象の強いエコポイント、悪名高きマンガの殿堂。
マンガの殿堂と同額を費やせば維持できたはずの母子加算を打ち切ってしまうという判断。

バラマキをやって支持率が下がるというのは前代未聞であって、このような所に自民党の末期症状を見る。

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2009年06月24日

「東国原総裁」に思う

自民 東国原氏の“起爆力”期待
http://www.sponichi.co.jp/society/flash/KFullFlash20090623122.html

 自民党の古賀誠選対委員長による異例の「現職知事への立候補要請」は、知名度の高い東国原英夫宮崎県知事の“起爆力”に頼らざるを得ない自民党の苦境の表れだ。橋下徹大阪府知事や森田健作千葉県知事にも衆院選での支援を要請したい考えだが、実現したとしても効果は見通せない。

 日本遺族会会長の古賀氏に対し、東国原氏は「次期総裁候補要求」という高いハードルを突き付け、出馬要請を事実上拒否したようにも見える。ただ東国原氏の実際の問いは「(自分を)次期総裁候補として衆院選を戦う考えがあるか」であり、党側が「衆院選で当選すれば当然、総裁候補の1人だ」と回答すれば条件はクリアできるとの見方もある。

 古賀氏は例年、沖縄慰霊の日である23日には「沖縄全戦没者追悼式」に出席してきた。今年も当初は出席する予定だったが、日程を変更してまでの宮崎入りで、古賀氏周辺は「成算がなければ会わないだろう」と話す。

 最終的には東国原氏が宮崎県内をはじめとする世論の動向を見ながら判断するとみられ、自民党幹部も「観戦しているうちに参戦になるかもしれない」と期待する。

 一方、東国原氏の「総裁要求」には党内に反発があるのも事実だ。大島理森国対委員長は国会内で記者団に「どういう県政のマニフェストを言っているか知らないが、国政での努力、経験、識見を踏まえ発言すべきだ」と不快感を表明した。

 古賀氏の行動にも「お笑い芸人(出身者)に自民党が笑われた」(幹部)と批判があり、党内の混乱につながる可能性もある。

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もはや八方ふさがりの感がある自由民主党。
タレント知事の人気にすがって何とか票を取ろうとするのも、
理解できないことではない。

ただ、一議員としてではなくて、
「総裁」のイスとなればそう簡単に渡すわけにはいくまい。
とても飲めるはずがない、という条件である。


総裁のイスを要求した東国原氏の真意は、
おそらく「体のいいお断り」であろう。

むしろ、こんな要件を真剣に受け止めて党に持ち帰った
古賀誠氏の判断が誤っていると、私は思う。

本来なら、東国原氏の真意を汲んで擁立を断念するか、
総裁や大臣は無理だと即答し、それでも何とか立候補を頼むか、
あるいは失礼だと席を蹴るか、いずれかであろう。


それを古賀氏は下手に出すぎてしまった。
まさか東国原総裁は実現すまいが、
それにしても、自由民主党の総裁ポストの根はあまりに安くなった。

古賀氏は浮足立ちすぎている。

もう一つ指摘したいのは、
東国原氏のために、「沖縄全戦没者追悼式」をパスしてしまい、
周辺もそれをわざわざマスコミにしゃべってしまったことである。

それだけ、東国原氏を重んじているとアピールしたかったのだろうが、
東国原人気にすがるあまり、沖縄を軽んじてしまっている。

左右いずれの立場を取るにせよ、
この類の行事を軽視すると取られては損の方が多かろう。
こと、九州や沖縄にはそれで動く票も少なくないと思う。



また、自民党の議員には、東国原氏の要求に怒る人もいるが、
その反応もいかがなものか。

先日鳩山邦夫氏が総務大臣を罷免される騒動の際、
鳩山由紀夫民主党代表が「弟は民主党代表ポストを要求した」と話した。
これもまた「民主党には行きませんよ」という意思表示であり、
だれも「鳩山邦夫代表」を真実味のある話として怒りはしなかった。


客観的に、「鳩山邦夫民主党代表」よりも
「東国原自民党総裁」の方がよほど無理筋であるのだが、
なんとなく、後者の方が真剣に捉えられてしまうことに
自民党の苦境を見て取ることができる。


もしかして、今の自民党なら東国原を担ぐこともありうるのではないか。

内部の人間ですら、かすかにそのような思いがよぎる。
非常に苦しい状態である。

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もしかして、自民党は野党として捲土重来を期することすらできないのではないか。
このまま、崩壊への一途をたどるのではないか。

最近そのような思いを強くしている。

そうであるとすれば、民主党一党優位になり、
民主党は社民党を無視しても全く問題なくなる。
これは愉快な未来図ではない。


また、かつて栄光を誇った自民党がここまで落ちぶれるというのは、
イデオロギーは抜きにしてさびしいことである。

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