2009年09月08日

選挙運動いろいろ

この記事はあくまでも私の見聞を書いたものであり、
あらゆるスタイルの選挙運動に当てはまるわけではない。


【街頭演説】
基本中の基本である。大きな駅をメインに、様々な場所で行う。
選挙期間中、候補者はほとんどの時間をこれと選挙カーで費やす。
また、選挙期間でなくても積極的に行うべきであろう。

これは行う時間によって朝立ち、夕立ち、夜立ちと呼ばれる。


・朝立ち

朝は毎日、7時くらいから8時半くらいまで駅頭に立ち、
通勤、通学中の有権者を狙って、
候補者や地方議員がマイクを持ち支持を呼びかける。
ただし8時(だったと思う)までは拡声器を使うことができない。

街頭演説といっても、ただのスピーチと異なるのは、
聴衆はみな忙しくて聞く気もないということである。

1分、いや30秒も真剣に耳を傾けてもらえると思うのは恐るべき傲慢である。
最低限の目的は名前と党名を覚えてもらい、「頑張っているな」と思っていただくこと。

だから、随所に名前を挟み込み、なおかつ
「どの30秒を切り取って聞いてもなんとなく意味がわかる」スピーチをしなければならない。

かといってあまりに内容の薄すぎるスピーチでは、
ごく稀にいる、特別に関心があってずっと聞いていた人
あるいは駅周辺に住んでいてずっと聞こえていた人を失望させる。

また、演説を行える時間はまちまちなので、自由に時間調整できる技術が必要だ。
要はバランス感覚なのだが、思うほど簡単ではない。

また色々な場所で演説を行うので内容は基本的に使いまわしだが、
10日もやっていれば2度3度と演説を聞く人もいるだろう。
とくに、熱心な人ほど何度も聞くことになるし、レパートリーは多い方がいい。
さらに、聴衆の傾向や雰囲気によって内容をアレンジできれば言うことはない。


・夕立ち

夕方の帰宅途中の有権者もやはりほとんど聞いてくれないが、
朝ほどは急いでいない。
また、駅前の広場で佇んでいるような人に声が届くような場合は、
もう少し長時間耳を傾けてもらえると期待できる。


・夜立ち

後述の選挙カーは夜8時までしか使えない。
というか、拡声器が8時までしか使えないのである。

しかしその後も休んではいられない。
比較的夜遅くになってから電車で帰ってくる人を狙い、
肉声で支持を訴える。

拡声器がない状態でしゃべっても、
ターゲットがごく近くにいる数秒しか声が届かない。
学校や仕事で疲れ切った有権者に、長々しく理屈を説くのは無粋でもある。
というわけで、党名と名前、「お仕事お疲れ様でした」。
この3点を伝達するのが目標になる。



また、大物政治家や著名人が応援弁士に来てくれることがある。
この場合は話を聞いてくれる人が多く集まるので、チャンスである。



ボランティアの仕事は、のぼりなどの設営、
候補者付近でのマニフェストやビラ配りである。

そう、口頭よりも、できればマニフェストを読んでもらう方が情報量が多い。

マニフェスト配りの際、基本的に伝達すべきことは以下の通り。
・おはようございますorこんにちはorこんばんは
・党名
・候補者名
・ただいまマニフェスト(および候補者のビラ)をお配りしています
・(受け取ってもらったら)ありがとうございます

しかしこの四点を全部言う時間は全くないため、適当に端折ることになる。



【選挙カー】
嫌われている選挙活動だが、
やはり存在を認知されることによって増える票の方が多く、
当選への努力としてこれを行わないことは難しい。

民主主義的な選挙にかかるコストとして、
多少のご迷惑をおかけすることにはご理解をお願い申し上げたい。


ウグイスさんがマイクで支持を呼び掛けるが、
候補者本人が乗り込む場合も多い。

これはそもそも車が数秒〜十数秒で走り去るし、
ターゲットは建物の中にいるため、
複雑な内容を喋ってもまったく伝わらないであろう。

だから候補者の名前を連呼することになるが、
全くそれだけというのではやはり印象が悪すぎる。

ごくごく、本当に簡単な程度の政策の訴えや、
スローガン、キャッチコピー、意気込みの表明なども交えるのが普通だ。

また、候補者や応援の地方議員などにゆかりのある土地を通る時、
そのことを猛アピールする。

学校や病院ではボリュームオフ、
激励や振られた手にはお礼を必ず返し、
(マンションの上層からであっても、見つけなければならない)
作業員を見かけたら候補者は働く人の味方だといい、
子ども連れを見かけたら子育て支援をアピールする。

ウグイスさんには機転と弁才が必要である。
ただ候補者の名前を言っていればいいという簡単なものではない。


ウグイスではないボランティアの仕事は、
選挙カー、あるいは前につく先導車などに乗り込み、
白い手袋をはめて車から手を振り、
人を見かけたらこんにちはの後に候補者名や党名を叫ぶことである。
マイクもいいが肉声で呼びかけられると印象がいいようだ。

手を振り返されたり、「頑張ってください」などの激励をもらったら、
すかさず心からの笑顔と声で「ありがとうございます!」と叫ぶ。

案外嬉しいものなので、選挙カーにはぜひ手を振ってあげてほしい。
また、子供は選挙カーが好きである。
子供からの応援は票にはならないが、元気にはなる。

公園で小さな子供に笑顔で手を振っても不審者とみなされないのは、
選挙期間中だけであろう。


路地を低速走行しているような場合、
熱心な支持者が外に出たり窓を開けたりして激励してくれる場合がある。
このような場合、候補者本人が乗っていれば必ず降りて、
その人の元に駆け寄り握手する。
ボランティアはその後を追いかけビラやマニフェストを渡す。


・スポット演説

また候補者は、団地などの人が多そうな場所で選挙カーをたびたび降りて
ごく短い(5〜10分)の街頭演説を行う。「スポット演説」である。
スポット演説は弁士、聴衆ともに移動しないため比較的内容重視でいい。

ついでに、ボランティアはポスティングやビラ配りなどを可能であれば行う。
結構大変だ。

このスポット演説を1日50回やれというのが小沢一郎の教えであり、
東京12区で公明党代表を破った青木愛などはそれをやったらしい。

善意によってタダ、もしくはごく薄給で働く
運転手や運動員に休憩を与えないわけにはいかないし、
ごく僅かずつ移動しながら2分程度喋ると考えても、かなり大変だろう。


また、このようなスポット演説などをやる中で、
他党の候補者と場所がバッティングすることがある。
こういった場合は、基本的に話し合いで解決する。

応援する候補が違っても、同じ苦労を共有するものとして、
運動員同士は奇妙な共感で結ばれている。


最近は選挙カーより印象がいい自転車を使う政治家が増えているが、
私が支援した候補者はやらなかった。
そのかわり地方議員とボランティアだけで自転車部隊を組んだが、
それについてはまた今度にしよう。



【集会】
有権者が数人集まるといえば
政治家(特に新人、若手、浪人)はそこに出向き、集会を開いて語り合う。
これは「ミニ集会」といって、
民意の汲み取り、また地盤固めのためにとても重要である。
大物は全国を回るが、下っ端は自分の選挙区で有権者と語り合うことが大切だ。

しかし、こういった屋内での集会は、選挙期間中はあまりやらない。
やるとすれば初期の「決起集会」、あとは数回程度だろう。

ミニ集会は基本的に国会議員(候補)と地元の地方議員程度だが、
選挙期間中の集会には大物政治家など弁の立つ人が応援に来る。

このような集会では聴衆は完全にまじめに話を聞いてくれる。
が、身内や熱心な支持者がメインなので、主目的は支持拡大というより士気高揚である。

集会のあとはそのまま街頭に出て、演説を行ったりすることが多い。
集会の参加者もそのままサクラになってくれることを期待できる。



【ゲリラ部隊】
候補者なし、ボランティアや地方議員だけで、
大きな交差点や駅頭でビラやマニフェストを配る場合がある。

基本的にこんなことをしても、
候補者本人がいない状態ではあまり注目してもらえないのだが、
先の選挙に限っては民主党のマニフェストが異常人気となったようである。


この仕事に限ったことではないが、元気に声を出さないと叱られる。
ただ何をしゃべってマニフェストを配るかは自由裁量があり、いろいろ工夫した。

とはいえあれこれ喋るよりも、
最低限党名と、マニフェストを配っているという事実を伝えることが大切かなと思う。


演説、ビラ配り関係の運動について書いたが、
まとめるとこのようになる。

認知重視←→内容重視
ゲリラ部隊 選挙カー 夜立ち 朝立ち 夕立ち スポット演説 応援ありの街頭演説 集会


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2009年09月06日

風は穏やかに凪いでいる

「民主党はもっと勝っても罰は当たらなかった」と私が述べるのは、
何もひねくれて言っているわけではない。

個別の地域の前に、空中戦/地上戦でいうところの空中戦の面から述べよう。

自民党の政権運営や選挙戦術があまりにも悪かったし、
後述するように自民党の「地盤」が崩壊しているから、
「政権交代」を旗印にすることで、勝つことは勝てた。

けれども、「民主党への風」は吹かせられなかったという状況であろう。
吹けば、民主党はもっと勝ったはずである。

「小沢ガールズ」は優れた戦略ではあった。
彼女らは空中戦に貢献したし、候補者としても強力であったし、
議員としても期待してよい面々であろうと私は思う。

しかし、それによって起きた風は小泉旋風やオバマフィーバーとは比較にもならないし、
新政権への国民の視線も、私の予想以上に懐疑的であり、鳩山政権は多難な船出となる。

なぜ、民主党フィーバーが起きていないのか。

高速無料化などの政策があまり国民に理解されていない、
誰もが期待する目玉政策が出せてない、メディアが味方になっていないなど、色々な要素がある。

しかし民主党はもっとうまくやれば、ブームを作れたのではないかと思う。

よく「風に乗って民主党大勝」と言われているが、
私は、その表現は正しくないと考えている。

風は、穏やかに凪いでいる。


「風」は凪いでいたけれども、「大地」のほうが動いて、政権交代が起きた。

それは言うまでもなく自公政権への国民の怒りであり、穏健保守層の離反である。
マスコミが作る「風」ではない。大きな大きな「地殻変動」が、
1955年以来の「戦後レジーム」を終焉せしめたのである。


また、より「選挙戦略」という視点にひきつけて考えるならば
小沢一郎が色々と動いて農家など自民党の組織票を離反させたこともあるし、
なにより、下野することが明らかな自民党に利権を期待することはできない。

そのような理由で自民党の支持基盤、利益誘導のシステムは崩壊したわけだが、
それにしては、いくつかの選挙区で民主党は保守地盤の壁に阻まれている。

「もともと無理な選挙区だった」と言える小渕優子や安倍晋三の選挙区は別としても、
古賀・森・福田などの選挙区は民主党としても「象徴的な選挙区」として重視し、
強力な候補者を擁立した。

最初は「大物を選挙区に張り付ける」という目的であったかもしれない。
しかしその後状況は変わった。途中、勝てる展望が見えた時期もあったのである。

ただ、結局は、惜しくも及ばなかった。

利益誘導がなければ何の魅力もなさそうな男たちだが、
長年のしがらみを活用して巻き返したのか、それとも民主党が緩んだか。
あるいは、やはり活動の期間が足らなかったのかもしれない。


また、地域としては、北陸、山陰、四国などに関しては民主敗北といってよい。
とくに四国は参院選の全勝からうって変わっての敗北であるから、
候補者の選定、選挙戦術などに問題はなかったか再検討が必要かもしれない。

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2009年09月02日

政権交代成る

暑く、熱い選挙戦が終わった。
私自身、某候補者の事務所にて、
衆議院総選挙の選挙戦に加わらせていただいた。

結果的に、政権交代は成った。

客観的に見れば、民主党が未曾有の大勝、
自民・公明が大敗ということになるであろう。

自公政権の新自由主義経済により、国民生活は貧困の底に追いやられた。
今回の選挙によってその責任を取らせることができた。

また、憲政史において国民が直接総理を選んだ初めての経験ともなる。

新政権にはぜひ新自由主義路線を転換、明治以来の霞ヶ関支配を打破し、
「国民の生活が第一」というスローガンを裏切ることのないことを求める。

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自民党はもはや存立基盤を失っている。

派閥という教育・政策立案システムはすでにない。
もはや利益誘導による集票もできない。
最大の支持団体、創価学会の援助もなくなるであろう。
政策面で官僚に頼ることももはやかなわない。
財界も自民党べったりではなくなる。

それでも、これまでの失政を真摯に反省し、
「国民政党」であった自民党の姿を取り戻す努力が見られれば、
再起の目はあったかもしれない。

しかし、この選挙では自民党にそのような反省はなく、
右派イデオロギー的な主張とネガティブキャンペーンを繰り返すだけであった。

小選挙区制において右に走ることは選挙戦術として拙い。
右派はどちらにせよ自民党についてくるものとし、
中道ないし左派の票まで取ることを目論むべきであった。

しかし自民党はそれをせず、過激な主張とネガティブキャンペーンで、
旧来の支持層たる穏健的な保守層の票まで逃がした。
自民党の政策立案能力、自浄能力の限界かもしれない。

もはや、自民党の再起は難しくなってきた。
私は一党優位を避ける立場から、繰り返し自民党再生を説いてきた。
しかし、ことここに至っては自民党消滅または大幅縮小のうえ、
民主党分裂または新党の登場によって新たな対立軸を作る方が好ましいかもしれない。

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各方面で「民主党大勝」と言われている。

小沢の選挙戦術は鮮やかであった。
たとえば野田聖子の選挙区では、
かつて佐藤ゆかり支持であった自民党県議を抱きこみ、民主党を支持させ、
結果として野田聖子を小選挙区落選に追い込んだ。
このようなことは小沢にしかできない。


しかし、自民党消滅を目標にするならば、
もっと勝っても罰は当たらなかったところであるし、可能でもあった。

民主党の気が緩んだか、自民党が意地をみせたか、
いくつかの注目選挙区では自民党が議席を維持した。
また、近畿では比例候補者が足りず自公に議席を譲った。

小沢も、やはり人の子といったところであろうか。


私は社民党の影響力という観点から民主党の勝ちすぎを懸念してきたが、
もはやそういうことを云々できるレベルの数字でもない。

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小政党には厳しい選挙となった。

社民党としては何とか議席数を守ったが、比例得票は大幅に減少している。
また、保坂展人を失ったのは痛恨事というほかはない。

「護憲」が争点になるような政治情勢ではなく、
「政権交代」、「生活が第一」というスローガンを民主党が持ってしまった中、
社民党の存在意義をどのように打ち出すか、本当に苦慮された。

党首の福島瑞穂は、選挙中、時に踏み込んだ民主党批判をし、
野党支持者からも非難を浴びた。
しかし、そのようなこともして差別化を図らないと生き残れない。

社民党は苦しいが、まずは、新政権内で成果を残したい。

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